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ベクレルセンターは2026年3月末をもって営業を終了致しました
2012年1月に開設したベクレルセンターは、2026年3月末をもって営業を終了致しました。当初は10年間の継続を目標としていましたが、14年間活動し約8,000検体の測定をする事ができました。ご支援下さった皆さま、測定をして下さったボランティアの皆さま、ここまで続けてこれましたことを心から感謝致します。





【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第3回】引き継がれる信念。ヘパタでの自立支援と旅の終わり
「体感!農村リーダーのくらし・生き方」をテーマに駆け抜けたインドネシアスタディツアー2026。北スマトラ州を巡る全3回のレポートも、いよいよ今回が最終回。
第1回の「ケニーズファーム」での自然と調和する暮らし、第2回の「コーヒー生産者組合」での圧倒的な熱量とホームステイ体験を経て、参加者の心と体はすでにインドネシアの空気にすっかり馴染んでいました。
最終回となる第3回では、ジュンピーターさんとランピタさんが携わる障がい者自立支援の働きを中心にお届けします。
■ トラベルログ:受け継がれるコミュニティ開発
- アジア最大のプロテスタント教団からつながる自立支援
インドネシアには、アジア最大のプロテスタント教団といわれる「HKBP(バタック・プロテスタント・キリスト教会)」があります。HKBPは礼拝や伝道のみならず、活発な社会奉仕活動でよく知られており、アジア学院の卒業生も沢山活躍しています。第1回で登場したジュンピーターさん、第2回で登場したランピタさんも、HKBPの障がい者支援部門「ヘパタ」による「地域に根差した自立支援活動」を支える大事な役割を担っています。
ナガサリブでの2日目は、ナガサリブの障がい者と家族の方々も招き、ジュンピーターさんとランピタさんに、ヘパタの活動やそれに賭ける想いを聞きました。





- オステンからジュンピーターへ 受け継がれるヘパタの活動:第1回レポートに登場した、初日に訪問した障がい者支援団体(トバ障がい者協会)も、ヘパタから始まり、現在は独立して運営しています。ジュンピーターさんが語ってくれたのは、「自分一人で始めたものではない」ということでした。元々へパタの担当者であった2006年アジア学院卒業生のオステンさんがジュンピーターさんに声をかけ、今ではジュンピーターさんが「地域に根差した自立支援活動」を行う6地域の活動を統括しています。沢山の卒業生を抱える北スマトラ州では、卒業生間の協力も盛んで、力を合わせてコミュニティに奉仕しているのです。
- 頼れる現場の人、ランピタ:ナガサリブ村の担当として、多様な障がいを抱えた人々と現場で深くかかわるランピタさん。鞄作り、農業、バリスタなど、一人ひとりの得意なことを一緒に探し、自立につなげますが、まずは家族と話し合うことが何よりも大事だと強調します。障がいを持つ子の安全を心配し、新しいことに挑戦させることに抵抗を示す親も多いからです。他の仕事も抱える中で、週に7時間は当事者や家族との話し合いのために割いているというランピタさんの姿からは、人々から頼りにされていることがはっきりと窺えました。
- 災害後のカカオプロジェクト:最終日は景勝地・パラパットでの観光。この日ジュンピーターさんは、自宅で行っている新たなプロジェクトを見せてくれました。6畳ほどの空間にずっしりと並べられた苗。これは、昨年12月のスマトラ島の洪水で被害を受けた農家が農業を再開できるよう配布するために育てているカカオの苗です。いずれ商品化し、農家の収入創出につなげる意欲も見せています。普段からコミュニティと緊密に働いている卒業生だからこそ、災害後の迅速でニーズに応じた働きが可能になっているのです。
- 地域の小中学校訪問、そしてパラパット観光
その他、旅の終わりにかけては、シボロンボロンの小中学校訪問とパラパット観光も行いました。生徒たちの名前を日本語で書いてみたり、グラウンドを走り回ったりと、全身を使った文化交流を楽しみました。パラパットではビーチ、ハイキング、買い物を楽しんだ後、最後の夜のリフレクション。お祭りのような一日を通して、スタディツアーで出会った互いの存在を称え合うような締めくくりになりました。
■ 参加者からの声(事後アンケートより)卒業生たちの歴史や活動の広がりを目の当たりにし、参加者たちは自分自身の社会との関わり方について深く思索を巡らせました。アンケートに寄せられた内面的な変化や気づきを紹介します。
「オステンさんからジュンピーターさんへと、アジア学院の理念と実践がバトンタッチされている事実に感動しました。点ではなく、線で地域が良くなっているのを感じました」
「ヘパタでの自立支援を見て、『誰もが役割を持てる社会』の本当の意味を理解しました。効率やスピードばかりを優先しがちな日本の社会の中で、自分がどう生きるべきか、根本から考えさせられました」
「一つのプロジェクトを成功させるだけでも大変なのに、別地区でも活動を展開するランピタさんの視野の広さとバイタリティに圧倒されました。自分自身の活動の枠を勝手に狭めていたことに気づかされました」
「毎晩のリフレクションがあったからこそ、ただの『旅行』で終わらず、自分事として全てを吸収できました。年齢も背景も違う参加者同士が本音で語り合い、自己開示できたことは一生の財産です」
■ 結びに 「農村リーダーのくらし・生き方を体感する」というテーマの通り、参加者たちは卒業生たちの圧倒的なエネルギーに触れ、自らの人生の根源的なニーズに向き合う素晴らしい旅となりました。 温かく迎え入れてくれたインドネシアの皆さま、そしてこのツアーを応援してくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
アジア学院では、今後もこうした「生き方を揺さぶる」スタディツアーを企画してまいります。ぜひ次の機会には、あなたも一緒に旅に出ませんか?








【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第1回】生き方を揺さぶる!ケンゴとフェニーが営む「ケニーズファーム」での暮らし
【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第2回】「Seed to Cup (種からカップまで)」あふれる熱気 ガニとランピタのコーヒー生産者組合と村でのホームステイ – アジア学院
【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第3回】引き継がれる信念。ヘパタでの自立支援と旅の終わり – アジア学院

2026年 アジア学院 イベントスケジュールアップデート
年明けに告知したアジア学院の 2026年度の主なイベントスケジュールについて、詳細が決定しましたのでアップデートをご覧ください。
今年も皆さんにご参加いただけるイベントが盛りだくさん。キャンパスでの体験や学び、そして交わりの機会をぜひお見逃しなく。
年間スケジュールのハイライト
- 3月:学生来日
- 4月:11日(土) 入学式、17日(金)-25日(土) 古本市
- 5月:3日(日)-5(火) English Farm Camp、30日(土) 体験入学会(キャンパスツアー&サーバントリーダーシップ入門)
- 6月:アジア学院サンデー
- 8月:14日(金)-22日(土) 古本市、22日(土) アジア学院フレンズデー
- 9月:21日(月)-23日(水) サーバントリーダーシップキャンプ、アジア学院サンデー、Dinner in Tokyo
- 10月:17日(土)・18日(日) 収穫感謝の日
- 11月:古本市
- 12月:12日(土) 卒業式
- 1月:アジア学院フレンズデー
ちょこっとファーム&フォレスト 自然に触れるプログラムも定期開催します! ① 5/16(土) ② 7/18(土) ③ 9/19(土) ④ 11/14(土) ⑤ 1月(フレンズデーと同時開催)
季節の寄付キャンペーンについて キャンペーンはテーマを設けてアジア学院を知り、参加してもらう機会です 。 アジア学院や卒業生を知るコンテンツ配信、特設寄付サイトなどを設けます 。
今年サポーターの皆さまと一緒に深めたいテーマは「A Time to Heal 癒やしの時」 。傷ついた大地、分断される社会の中で、癒やしの時と癒やし手が求められています。
アジア学院と共に「知る」「参加する」機会として年3回キャンペーンを実施し、 期間中は卒業生のストーリー配信や特設サイト公開を予定しています。
3・4月 [春(イースター)]: 傷ついた大地にやさしく生きる
7・8月 [夏(平和月間)]: 隣人とやさしく生きる
12・1月 [冬(クリスマス)]: 恵みを祝う
お楽しみに 。
ぜひ周りの方にもお声がけください 。 イベントの詳細は随時発信していきます。最新の情報はウェブサイトにてご確認ください 。
皆さまとお会いできるのを楽しみにしています。


アジア学院オンラインショップ・新装開店
2005年から運営を始めたアジア学院オンラインショップは、その20年の歴史に一区切りをし、2026年春に新たにオープンいたします!
にんじんジュースやクッキーなど人気の定番商品がオンラインでご注文いただけます。
アジア学院で食べた、教会のイベントやマルシェなどで出会った、あの美味しいクッキーを来校しなくても購入することができます。ご贈答にもお使いいただけるミニギフトやジュースボックスも是非どうぞ。
(国内配送のみ承ります。一部商品・クッキーや大豆はレターパック(600円)での発送となりますことをご了承ください。)
現在、開店したてということもあり、商品ラインナップは限られておりますが、順次アップさせて頂く予定です。
お問合せやご質問につきましては、アジア学院まで直接お問合せください。
メールでのお問合せにはお返事に2~3日ほど頂く場合がございます。
営業時間:月~金曜日、9:00-12:30 13:30-17:00
お問い合わせ: アジア学院 0287-36-3111 / [email protected]


【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第2回】「Seed to Cup (種からカップまで)」あふれる熱気 ガニとランピタのコーヒー生産者組合と村でのホームステイ
「体感!農村リーダーのくらし・生き方」をテーマに行われたインドネシアスタディツアー2026。レポート第1回の「ケニーズファーム」での濃密な日々を経て、一行は次なる目的地、北スマトラ州のナガサリブへと車を走らせました。
第2回となる今回は、アジア学院卒業生のガニ・シラバン(2008年卒)とランピタ・シラバン(2014年卒)の活動拠点での学び、現地家庭でのホームステイ、伝統文化体験、そして看護大学訪問の様子をお届けします。

■ トラベルログ:「Seed to Cup (種からカップまで)」と銘打って一杯のコーヒーの裏側と、地域に根ざす暮らし ガニさん、そしてランピタさんは、コーヒー農家として地域のコーヒー生産者組合「KSU POM Humbang Cooperative」を組織し、農村コミュニティを力強くリードしています。彼らの放つあふれんばかりのエネルギーに、参加者たちは大いに刺激を受けました。
ガニさんのクラスとコーヒーツアー: ガニさんは組合の代表として、地元のコーヒー農家への助言やブランディング、他のNGOや自治体との連携、そして次世代の教育に日々奔走しています。「一人ではできないから、組織や協力が大事」「単にコーヒーが大好きなんだ」。コーヒーの製造過程を、目を輝かせて案内してくれるガニさんから、強く明るい生き方を参加者は感じ取りました。
ホームステイ(2泊): 参加者は2-3名ずつに分かれ、現地の家庭にホームステイをしました。言葉の不自由な中でのコミュニケーションや手桶での水浴びなどのチャレンジも経験しつつ、温かいおもてなしを受け、共に食卓を囲み、一期一会の交流を満喫しました。
文化体験施設「Siholta(シホルタ)」への訪問: ここでは、北スマトラ地域の「バタック(Batak)」民族の文化を学びました。独自の伝統的な造りの家屋を見学し、活気あふれるバタックの音楽や踊りを体感しました。
看護大学訪問: ガニさんが教鞭を取るStikes KB Doloksanggulを訪問し、日本で働くことを目指している学生たちとの交流プログラムを持ちました。現地の学生の素晴らしい踊りと歌の披露に応えて、私たちは日本らしいゲームや折り紙を紹介。言葉は通じなくても、弾けるような笑顔のあふれるひと時でした。
■ 参加者からの声(事後アンケートより)第1回で取り上げたフェニーさんや健吾さんとは異なるリーダーシップの形や現地の深い文化、そしてありのままの生活に触れた参加者からは、熱の入った感想が寄せられました。
「様々なリーダー達をみて共通していたのは、エネルギーに溢れていたこと。自分の使命のために全力で行う姿は印象的でした」
「タイプの違ったガニさんの取り組み、ランピタさんの活動に触れられたことが良かったです」
「コーヒー生産者の苦労を知れて、作業工程を想像出来るようになり、コーヒーへの深みが増しました」
「現地に住んでいる人たちと同じように水でシャワーする体験も貴重で良かったです。数日の生活でしたが、家のお風呂、トイレ、靴下の当たり前が変わりました。」
「大学訪問で、学生達の日本に対する考え方を知ったことが一番印象的です。」
ガニさんやランピタさんのように、地域課題の最前線で信念を持って働くリーダーの姿と、現地で生活する人々のリアルに触れ、参加者それぞれの学びがさらに深まった中盤。これらの力強い体験は参加者の中でしっかりと咀嚼され、それぞれの「生き方」への問いにも繋がっていきました。
第3回は最終回。現地の小中学校の訪問、パラパット観光、そして第1回でも少し触れた卒業生ジュンピーターさんが取り組むコミュニティ開発についてお届けします。お楽しみに。









【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第1回】生き方を揺さぶる!ケンゴとフェニーが営む「ケニーズファーム」での暮らし
【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第2回】「Seed to Cup (種からカップまで)」あふれる熱気 ガニとランピタのコーヒー生産者組合と村でのホームステイ – アジア学院
【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第3回】引き継がれる信念。ヘパタでの自立支援と旅の終わり – アジア学院

始まりました!アジア学院 イースター・春の寄付キャンペーン「傷ついた大地を癒やす」
3月14日(土)から4月30日(木)まで、アジア学院ではイースター・春の寄付キャンペーン 「傷ついた大地を癒やす」を実施します。
気候変動による予測不可能な天候や異常気象は、遠い国の話ではなく、ここアジア学院の農場でも日々直面している現実です。
この危機的な状況に対し、時に無力感や疲れを覚えてしまうこともあるかもしれません。
だからこそ、私たちは今年のテーマを「癒やしの時(A Time to Heal)」といたしました。切迫した状況から一歩身を引いて再生の時を思い描き、気候変動のみならず、分断の深まる社会における他者との関係における「癒やし」について、皆様と一緒に考えていきたいと思います。
アジア学院では、アジア・アフリカ・中南米・太平洋地域の草の根のコミュニティリーダーを招き、9ヶ月間の研修を実施しています。彼らは自然と調和した有機農業や多文化共生を学び、帰国後は「奉仕するリーダー(サーバント・リーダー)」として、それぞれの地域で環境再生やコミュニティ開発を牽引します。ひとりの卒業生が育つことで、その背景にいる1,000人の生活が良い方向へと変わっていきます。
しかし、開発途上国の農村で働く団体や個人には、日本に渡航して学ぶための経済的な余裕がないことがほとんどです。アジア学院で学ぶ費用は、皆さまからのご寄付によって支えられています。
先日、アジア学院はこれまでの「土と共に生きる」実践や高い食料自給率の維持などが評価され、第15回クボタ・毎日地球未来賞において大賞を受賞いたしました。これもひとえに、皆様の温かいお支えがあったからこそ成し遂げられたものです。
世界各地で「土からの平和」の種を蒔き、傷ついた大地を癒やす次世代のリーダーたちを育むため、引き続き皆様のお力添えをお願い申し上げます。
なお、アジア学院へのご寄付は寄付控除の対象となります。詳細は、特設ページをご覧ください。
https://ari.ac.jp/donate/a-time-to-heal-spring-2026
期間中、SNSなどを通じて、様々な「傷ついた大地を癒やす」に関するメッセージや卒業生の活動について発信してまいります。あなたの想いを、次のリーダーへ。希望をつなぐご支援を、心よりお待ちしております。

【終了】アジア学院 非常勤職員募集(総務課・庶務/営繕)
(2026/4/17記)下記の募集は終了いたしました。
アジア学院では総務課 庶務/営繕職員を募集しています。
■ 業務内容
アジア学院(学校法人)における総務・庶務・営繕全般の仕事です。
- 電話・来訪者対応
- 営繕、車両管理
- ゲストルーム管理(清掃、鍵管理)
- 備品の整理及び管理
- 学生やボランティアの病院同行
- 地域資源の受け取り(おからやホエイ等)
- 文書作成(Word)、データ入力(Excel)、Eメール対応
- 理事会準備補佐、印刷業務
- 関係団体との連絡、申請手続き補佐
※日々多様な業務が発生します。臨機応変に対応できる方を歓迎します。
■ 雇用条件
- 勤務形態:非常勤パート
- 勤務時間:月〜金 6:30〜17:00(休憩2.5時間)
※希望により調整可 - 賃金:時給 1,058円(9時から17時の場合)
※通勤手当は当校規程に基づき支給 - 試用期間:3ヶ月(時給は同条件)
■ 応募条件
- 性別・年齢不問
- 普通自動車免許
- Word、Excel、Eメールなど基本的なPCスキル
- 英語でのコミュニケーションが可能、または積極的に挑戦できる方
- 異文化・多宗教への理解があり、キリスト教への理解がある方
- 自給自足を土台とした学院の研修理念に共感できる方
■ 応募方法
- 募集期間:随時(なるべく早い方が望ましい)
- 締め切り:採用者決定次第
- 提出書類:
- 市販の履歴書
- 志望動機(A4・2ページ以内)
- 面接:日程は後日連絡
- 採用時期:2026年3月末以降(応相談)
※申請・面接前に学院の見学や短期滞在を推奨
■ 問い合わせ
事務局長:佐久間 郁
TEL:0287-36-3111
Email:[email protected]

2026年 3月11日 ー東日本大震災から15年を迎えて
三つの災害が重なった、あの東日本大震災から15年。アジア学院では礼拝を行い、今もなお大切な人を捜し続けている方々のために祈りを捧げました。
私たちはまた、あの日アジア学院を襲ったもの ―土地、心、そして身体に降り注いだ放射性降下物の記憶を呼び起こしました。非電化工房の藤村 靖之先生、そしてアジア学院の荒川 治校長、荒川 朋子前校長と共に、この15年間、私たちがどのように土地を守り、次世代の健康を守るために歩んできたかを深く見つめ直しました。
そして最終的に、私たちはこの歩みを止めることなく、平和と、核の汚染のない世界のために働き、祈り続けることを誓い合いました。
以下は、当日語られた荒川 治校長のメッセージです。
東日本大震災から15年を迎えて
あの日から、15年が経ちました。2011年3月11日。地震と津波、そして原発事故。
私たちは、想像を超える出来事の中に投げ込まれました。多くのいのちが奪われました。
大切な人を失った人々の深い悲しみは、今も続いています。
自然は時に猛威を振るい、人のいのちを奪います。しかし同時に、食べ物を与え、人を生かしてくれるのも自然です。私たちは自然の外にいる存在ではなく、自然の一部として生きています。自然の中には、生きている不思議と、死んでゆく不思議が共にあります。
その神秘の中で、私たちは生かされているのです。
歌手の加藤登紀子さんは、夫を亡くした後、悲しみについてこう語っています。「悲しみはなくしたいものではなく、むしろとても大切なものになった。悲しみがあるからこそ、人の痛みや世界の苦しみがわかるようになる。悲しみは人生の中で守るべき感情であり、悲しみを通して、人や世界と深くつながれる。」
加藤さんは、悲しみを「乗り越える」というよりも、悲しみを自分の中に大切に持ちながら生きるという感覚になったと言います。悲しみは、愛の裏側にある。愛しているからこそ、悲しみがあるのです。
また、随筆家で詩人の若松英輔さんは、著書、『悲しみの秘義』の中でこう語っています。「人生には、悲しみを通してしか開かない扉がある。」
この世には、悲しみを通してしか見えてこないものがあります。深い悲しみの中で生きる人は、胸の中に見えない涙を流しています。しかしその悲しみは、新しい生や希望の始まりに触れている可能性がある。悲しみを通してしか開かない扉があるのです。
私たちのアジア学院も、この震災で被災しました。幸い、命を落とした人はいませんでした。しかし、建物が壊れる以上の大きな試練がありました。それは、目に見えないものと向き合う試練でした。
原発事故によって放出された放射能。それは目に見えません。見えないものは、人の心に不安と疑いを生み出します。放射能に対する「過剰反応」と「鈍
感反応」。恐れすぎる人と、まったく気にしない人。「いのちを守る行動」と「経済を守る行動」。どちらが正しいのかという対立。「風評被害」と「健康被害」という言葉の間で、社会は揺れました。何を信じればよいのか分からない。それ自体が大きな苦しみでした。
しかし、私たちは立ち止まりませんでした。最初に取り組んだのは、見えない放射能を見えるようにすることでした。
測定器をそろえ、市民自らが放射能を測りました。通学路を測り、食べ物を測り、子どもたちの環境を測りました。恐れることをやめたのではありません。
正しく恐れるために、事実を知ろうとしたのです。見えるようになったとき、私たちはようやく冷静に判断できるようになりました。さらに私たちは、国の基準を待つだけでなく、自分たちで安全基準を定め、その基準の中で生活することを選びました。それは、不安に振り回されるのではなく、主体的に生きるという決断でした。
災害を克服するとは、単に元の状態に戻ることではありません。自分たちの生き方を、もう一度選び直すことなのだと思います。震災は、私たちに大きな気づきを与えました。
それは、土と水と空気がどれほど尊いものであるかということです。
それまでも大切だと知っていたはずです。しかし放射能汚染を経験して、私たちはそれらが失われうるものだと知りました。当たり前と思っていた自然の循環が、実はかけがえのない恵みであることを、心の底から実感したのです。
人間が築いた文明は、自然の前ではとても脆いものです。高く積み上げた塔も、一瞬で崩れ去ります。
しかし同時に、私たちは知りました。人間もまた自然の一部であるということを。放射能があっても、文句も言わずに咲く花。静かに生きる動物たち。
命は黙って与えられ、死んでもなお他の命を支えます。その自然の摂理に触れたとき、私たちは絶望の中で、希望を見いだしました。
しかし15年経った今も、現実は続いています。アジア学院の森には、黒い袋に入った放射性廃棄物が保管されています。セシウムの半減期は約30年。森の恵みしいたけを以前のように食べることができません。この現実は、原発事故の愚かさを忘れさせません。
人間は忘れやすい生き物です。原発は温室効果ガス削減という理由で再稼働が進められています。しかし私たちは問い続けなければなりません。自然を壊さずに、食べていくことはできないのか。経済と環境の対立を超える道はないのか。
私たちが見いだした希望は、自分の食べ物を自分でつくり、森とともに生きる里山の暮らしにあります。自然を搾取するのではなく、循環の中で生きる。土を耕し、水を守り、空気を汚さない。そのような生き方こそが、真の平和につながるのではないでしょうか。
震災のあと、私たちは以前よりも強い希望と信仰をもって歩むよう招かれていると感じています。いのちの根源につながること。自然と大地、そしてその奥にあるいのちの源と結ばれて生きること。それを、私たちはこれからも体現していきたいと思います。
15年という時間は、決して短くありません。しかし放射性物質の半減期を思えば、まだ道半ばです。だからこそ今日、「災害を克服する」とは何かを、あらためて問い直したいのです。それは単に傷を癒すことではありません。自然とともに生きるという原点に立ち返ること。見えないものを見ようとし、正しく恐れ、そして希望を選び続けること。その歩みの中にこそ、本当の意味での復興があると、私は信じています。
祈り
どうか、この世界に失われたいのちと悲しみを抱えたすべての人々に、安らぎと癒しを与えてください。
私たちが自然の中で生かされていることを忘れず、土と水と空気の恵みを大切に守る力を与えてください。
悲しみを通して希望を見出すことができるように、愛とつながりの中で生きる勇気を私たちに与えてください。
そして、私たちの歩みが、未来の世代に希望と平和を残すものとなりますように。
























