【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第3回】引き継がれる信念。ヘパタでの自立支援と旅の終わり

「体感!農村リーダーのくらし・生き方」をテーマに駆け抜けたインドネシアスタディツアー2026。北スマトラ州を巡る全3回のレポートも、いよいよ今回が最終回。
 第1回の「ケニーズファーム」での自然と調和する暮らし、第2回の「コーヒー生産者組合」での圧倒的な熱量とホームステイ体験を経て、参加者の心と体はすでにインドネシアの空気にすっかり馴染んでいました。
 最終回となる第3回では、ジュンピーターさんとランピタさんが携わる障がい者自立支援の働きを中心にお届けします。

■ トラベルログ:受け継がれるコミュニティ開発

  • アジア最大のプロテスタント教団からつながる自立支援

インドネシアには、アジア最大のプロテスタント教団といわれる「HKBP(バタック・プロテスタント・キリスト教会)」があります。HKBPは礼拝や伝道のみならず、活発な社会奉仕活動でよく知られており、アジア学院の卒業生も沢山活躍しています。第1回で登場したジュンピーターさん、第2回で登場したランピタさんも、HKBPの障がい者支援部門「ヘパタ」による「地域に根差した自立支援活動」を支える大事な役割を担っています。
ナガサリブでの2日目は、ナガサリブの障がい者と家族の方々も招き、ジュンピーターさんとランピタさんに、ヘパタの活動やそれに賭ける想いを聞きました。

  • オステンからジュンピーターへ 受け継がれるヘパタの活動:第1回レポートに登場した、初日に訪問した障がい者支援団体(トバ障がい者協会)も、ヘパタから始まり、現在は独立して運営しています。ジュンピーターさんが語ってくれたのは、「自分一人で始めたものではない」ということでした。元々へパタの担当者であった2006年アジア学院卒業生のオステンさんがジュンピーターさんに声をかけ、今ではジュンピーターさんが「地域に根差した自立支援活動」を行う6地域の活動を統括しています。沢山の卒業生を抱える北スマトラ州では、卒業生間の協力も盛んで、力を合わせてコミュニティに奉仕しているのです。
  • 頼れる現場の人、ランピタ:ナガサリブ村の担当として、多様な障がいを抱えた人々と現場で深くかかわるランピタさん。鞄作り、農業、バリスタなど、一人ひとりの得意なことを一緒に探し、自立につなげますが、まずは家族と話し合うことが何よりも大事だと強調します。障がいを持つ子の安全を心配し、新しいことに挑戦させることに抵抗を示す親も多いからです。他の仕事も抱える中で、週に7時間は当事者や家族との話し合いのために割いているというランピタさんの姿からは、人々から頼りにされていることがはっきりと窺えました。
  • 災害後のカカオプロジェクト:最終日は景勝地・パラパットでの観光。この日ジュンピーターさんは、自宅で行っている新たなプロジェクトを見せてくれました。6畳ほどの空間にずっしりと並べられた苗。これは、昨年12月のスマトラ島の洪水で被害を受けた農家が農業を再開できるよう配布するために育てているカカオの苗です。いずれ商品化し、農家の収入創出につなげる意欲も見せています。普段からコミュニティと緊密に働いている卒業生だからこそ、災害後の迅速でニーズに応じた働きが可能になっているのです。
  • 地域の小中学校訪問、そしてパラパット観光

その他、旅の終わりにかけては、シボロンボロンの小中学校訪問とパラパット観光も行いました。生徒たちの名前を日本語で書いてみたり、グラウンドを走り回ったりと、全身を使った文化交流を楽しみました。パラパットではビーチ、ハイキング、買い物を楽しんだ後、最後の夜のリフレクション。お祭りのような一日を通して、スタディツアーで出会った互いの存在を称え合うような締めくくりになりました。

■ 参加者からの声(事後アンケートより)卒業生たちの歴史や活動の広がりを目の当たりにし、参加者たちは自分自身の社会との関わり方について深く思索を巡らせました。アンケートに寄せられた内面的な変化や気づきを紹介します。
「オステンさんからジュンピーターさんへと、アジア学院の理念と実践がバトンタッチされている事実に感動しました。点ではなく、線で地域が良くなっているのを感じました」
「ヘパタでの自立支援を見て、『誰もが役割を持てる社会』の本当の意味を理解しました。効率やスピードばかりを優先しがちな日本の社会の中で、自分がどう生きるべきか、根本から考えさせられました」
「一つのプロジェクトを成功させるだけでも大変なのに、別地区でも活動を展開するランピタさんの視野の広さとバイタリティに圧倒されました。自分自身の活動の枠を勝手に狭めていたことに気づかされました」
「毎晩のリフレクションがあったからこそ、ただの『旅行』で終わらず、自分事として全てを吸収できました。年齢も背景も違う参加者同士が本音で語り合い、自己開示できたことは一生の財産です」

■ 結びに 「農村リーダーのくらし・生き方を体感する」というテーマの通り、参加者たちは卒業生たちの圧倒的なエネルギーに触れ、自らの人生の根源的なニーズに向き合う素晴らしい旅となりました。 温かく迎え入れてくれたインドネシアの皆さま、そしてこのツアーを応援してくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。
 アジア学院では、今後もこうした「生き方を揺さぶる」スタディツアーを企画してまいります。ぜひ次の機会には、あなたも一緒に旅に出ませんか?

【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第1回】生き方を揺さぶる!ケンゴとフェニーが営む「ケニーズファーム」での暮らし

【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第2回】「Seed to Cup (種からカップまで)」あふれる熱気 ガニとランピタのコーヒー生産者組合と村でのホームステイ – アジア学院

【アジア学院 インドネシアスタディツアー2026レポート 第3回】引き継がれる信念。ヘパタでの自立支援と旅の終わり – アジア学院

男子寮・ゲストハウス

学生とボランティアは男女別の寮で暮らしています。共用の談話室やキッチン、シャワー、洗濯機があります。Wi-Fiは使用できません。

鶏舎

平飼いの鶏小屋と育雛舎があります。400羽以上の鶏を飼育し、年間80,000個以上の卵と約1トンの鶏肉を生産しています。

豚舎

学生は様々な養豚技術を実践的に学びます。発酵床タイプとコンクリート床タイプがあり、糞尿はバイオガスや肥料に利用されています。

山羊舎

山羊のミルク(年間200リットル以上)や肉は食用に、糞尿は肥料に利用しています。山羊は日中は放牧場でのびのびと過ごします。

森林

キャンパス周辺の森林では薪や木炭用に間伐を行い、農業に使う落葉等の有機資材を集めます。

2.5ヘクタールの農地で約100種類の野菜・作物を農薬や化学肥料を使わずに栽培しています。コミュニティが共に学びつつ自給自足の生活を続けるため、皆で畑を管理しています。

水田

キャンパス内外の水田で米の栽培を行っています。アイガモを使った除草や施肥など、有機稲作法の向上のためにさまざまな手法を研究しています。

ワークショップ

修繕やリサイクルのための施設で、機械、溶接、木工関係の道具、材料が置いてあります。

ミキシングルーム(飼料配合舎)

手作業や機械を用いて家畜用の飼料を作っています。品質と持続可能性を高めるために日々奮闘しています。

管理棟

管理棟1階には受付と事務室、2階に職員室、校長室があり、隣接してファームショップ(農業研修棟)があります。

ARIショップ

アジア学院の農産物や加工食品、書籍、卒業生の国の民芸品等を販売しています。

ファームショップ(農業研修棟)

学院の農作業の中心であり、教室や農具・農業資材置き場を備えています。作物の乾燥保管も行います。

オイコスチャペル

100年前の農家の古民家を改装した礼拝堂です。毎日の朝の集会はここで行われます。その他黙想や対話、ゴスペルクワイヤの練習等に使われ、コミュニティに開かれた空間です。オイコスとはギリシア語で「ホーム」を意味します。

マナハウス(食品加工棟)

クッキーやジャムなどの加工食品の調理と保存を行う施設です。一階は鶏の食肉処理施設になっています。

養魚池

食用および農用に魚を飼育しています。

クリスマス・ウィンターキャンペーン 2025
Christmas and Winter Donation Campaign