
農民であるリーダー
マラウイ – エネット・ンカシクワ 2013年 アジア学院卒業生
卒業生たちは、実に様々なやり方で、アジア学院での学びを自分のコミュニティに導入している。私がよく目にするアプローチの一つは、学んできた有機農法を用いて自分の畑で農業をするという方法だ。これは単純すぎるように聞こえるかもしれないが、何が起きるか説明しよう。日を追うごとに、近所の人々がその農場の脇を通りかかる際、「日本へ行ったあいつは、なんだか違うことをやっているぞ。」と気付き始める。人々は警戒しつつも、好奇心に満ちた視線を送り続けるのだ。やがて作物の育ちが良いことが分かってくると、彼らは何気ない風を装って歩み寄り、こう尋ねる。「なあ、どうしてあんたの作物はそんなに立派なんだ?」これこそが決定的な瞬間であり、教え始めるための「入り口」だ。なぜなら、相手は何か新しいことを学ぶ準備ができている状態にあるからだ。私はこの巧みな術を使う卒業生を「ファーマー・リーダー」と呼んでおり、マラウイの卒業生、エネット・ンカシクワ(2013年度卒)もその一人だ。卒業後、彼女が最初に育成したのは夫のスティーブンで、すぐにニ人で堆肥とボカシ肥を作り始め、化学肥料の購入をやめた。最初は収穫量が減ったが、三年目には以前よりも多くの収穫を得た。「エネットが僕を変えたんだ!」とスティーブンは言う。

彼女が変えたのは夫だけにとどまらなかった。近所の人たちはエネットの畑を見て驚き、何をしているのか尋ねた。エネットは、アジア学院で学んだ堆肥やその他の有機農業の技術を村人たちに教え、人々もまた自分たちの畑でそれらを試し始めた。ほとんどの人が家畜を飼っているので、質の良いコンポストを作るための糞尿は至る所にあった。以前、それらはただ捨てられていたが、今やそれは貴重な「商品」へと変わった。中には、それを販売し始める者まで現れたのだ。エネットと彼女の家族が営む小さな農場は、コミュニティに大きな影響を与えている。

エネットが帰国後、真っ先にアジア学院での学びを分かち合ったもう一人の人物は、親友のエスター・ルバニであった。エネットは彼女を「農家第一号」と呼んでいる。エネットの指導のもと、エスターはミルク、肉、そして…「糞尿」を得るためにヤギの飼育を始めた。ヤギたちは、床を高くした手作りの小屋で飼われている。ヤギを地面から離して飼うのは衛生的であるし、板の間に意図的に作られた隙間から下に落ちる糞を回収しやすくするためでもある。農家が市販の肥料に頼るのをやめたかどうかは、家畜の糞尿をどれだけ大切にしているかですぐに分かる。エスターは現在45頭のヤギを飼っており、その堆肥をトウモロコシ畑に使用している。収穫量の改善は予想よりも早く現れた。今年は干ばつに見舞われたにもかかわらず、彼女は2エーカーの土地から92袋ものトウモロコシを収穫したのだ。彼女は、家の中に積み上げられた、今にもはち切れそうなほど詰まった袋を誇らしげに見せてくれた。近所の人々もこれに注目し、雨が少なかったのになぜこれほどの豊作を得られたのかを知ろうと、彼女のもとを訪ねてきている。

エスターは、エネットが「村にいながらにして生活を向上させてくれた」ことに深く感謝している。「エネットの手法を試すのに、ためらいはありませんでした」とエスターは説明する。「なぜなら、彼女自身が自分の畑で、全く同じことを実践していたからです」。エスターのこの最後の言葉は、「ファーマー・リーダー」がいかにコミュニティに対してポジティブな影響力を与えることができるかを私に教えてくれた。それは、実に強力なアプローチだった。

農民であるリーダー
スティーブン・カッティング 著
アジア学院 卒業生アウトリーチ課

